密/室(仮店舗)

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■万愚節(2011)■

■アン石SS■

なんか年々乗り遅れ具合がひどくなっていきますが…。
先日ツイッターでちらりと呟いた小ネタです。
今日が4月1日だと思って読んでいただければ幸いです。




■万愚節(2011)■



「好き?」って訊くと黙る。

「嘘でもいいから、言って?」って言っても黙る。

そうして、
すごく寂しくなって、こっちが黙ると

「明日言う」って言う。

空耳でしょうか。

いいえ。

アン石だもの。



END.



AC~♪
最後みつを混ざってますけど。
らしくなく(<両方の意味で)甘々にしてみました!

最後にPCをまともに立ち上げたのが二ヶ月以上前というテイタラク。
人様のエイプリルフールネタへの賛辞も出来ませんでした。(閲覧自体はiphoneでしてました)
相変わらずぽんぷ様の「蒸し器」様はスゴカッタ…!スゴカッタヨ…!
ちなみに、アレ全部保存しましたから私!(ストーカーたるものこうでなくては)
無論私一人でニヤニヤするのです。
あと毎年「となりの801ちゃん」には脱帽する。
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■万愚節■

■アン石SS■




■万愚節■


たれた目のせいかいつも微笑んでいるような顔の助手が、石動のデスクの前に立ち、いつものように微笑みながら言った。

「大将、長い間お世話になりました」

言われた石動は読んでいた新聞から顔を上げ一瞬きょとんとした後、思わず、といった態で小さく「え?」と聞き返した。

「携帯電話もお返しします。ああ、あのハンモックも…片付けないと」

アントニオは妙に清々しい顔で空中のハンモックを見上げ、それを片付けようとした。

慌てたせいで前のめりになりながらデスクから立ち上がった石動がその背中に手をのばし、くたびれたシャツを掴んだ。


アントニオが振り返ると、自分の肩の向こうに石動の顔が見えた。

眼鏡の向こうの黒い瞳が真っ直ぐにアントニオを見上げていた。

いつも血色のいい顔が青ざめて見えるのは、光線の加減だろうか。

それでもその唇は少し震えていて、やっと聞き取れるくらいの音量で「アントニオ」と言った。


「―――騙されました?」

そうはっきり言っても事態が飲み込めないようで、石動の手はアントニオのシャツを離そうとはせず、その目はアントニオの顔からそらされなかった。

「エイプリル・フールですよ、大将」

石動が不審そうに少しだけ眉をひそめ、もう一度「え?」と言った。

「エイプリル・フール」

そう言った後、彼を抱きしめたかった。戯れに仕掛けた一言が予想以上に彼を動揺させたことに罪悪感と―――歓喜を感じていた。

しかし、それは叶わなかった。

その単語の「エ」から「ル」までの間に石動の顔色は蒼白から真っ赤へと変化した。

ついでにその表情も常識では考えられないくらいに変化した。




あれから三日。
大将はまだ口をきいてくれない。


END.




完全に乗り遅れました…orz。>エイプリル・フール。
昨年「蒸し器」ぽんぷ様の素晴らしいエイプリル・フールっぷりを見せつけられてから、是非自分も、と、ネタ(上のじゃなく)は考えてたのにー。
そして今年も「蒸し器」様のエイプリル・フールっぷりは素晴らしかったですよ…!
どうやったら生まれるのあのセンス!(ムキー)(興奮)


ううう。
己の無能はさておき、顔面蒼白な大将を思い出してアントニオは幸せを噛み締めてたらいいと思います。
「万愚節」は“エイプリル・フールの漢語的表現”で、俳句では春の季語だそうです。
春泥さんに一句ひねっていただきたい…。



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■美しき日々■

■アン石SS■



■美しき日々■



 日差しはまだまだ夏の強さを残しているが、時折さらりと通る風はもう、秋の気配をはらんで涼やかだ。
 有限会社ダム・オックスが入所しているビルの屋上。中央に穴を開けた新聞紙から頭を出し丸椅子にかけた石動の背後に立ってアントニオは周囲を値踏みした。
 いつもより遠くから聞こえる雑踏の気配。車の走行音。一定の時間で流れてくる青信号の音楽。

 平和なものだ。
 
 万年金欠病を患っているこの探偵事務所では、助手が探偵の髪を切ってやることが度々有った。その逆はアントニオの必死の抵抗によって過去に一度も例が無いが。
 石動の髪に指を通し、その癖のない髪を薄くすくい鋏を入れる。切られた髪は下には落ちず、そのまま穏やかな風にさらわれて行った。
「風が気持ちいいですね」
 また髪をすくいながらそう話しかけると石動は読んでいた文庫本から目を上げて、
「そうだなあ。毎年九月ってこんなに秋めいていたかなあ」
「事務所が蒸し風呂だから気づかないんじゃないですか」
「いっそ外の方が快適だってことか」
「雨は凌げませんけどね。こういう日は事務所のドアに張り紙でも出しますか」
「矢印を書いてか?」
「有限会社ダム・オックスはこちらって」
「エコロジーな探偵事務所としてテレビが取材に来るかもしれないな」
「忙しくなりますね。コーヒーカップが二つしかないですよ。買い足さないと」
 二人でくすくすと笑った。

 石動の髪をすくっていた指がふと止まり、何かを確かめるように髪を梳いた。

 白髪が増えた。そう思う。 

 こうして、この人のそばに、もうどれくらい居るのだろう。
 ぬるま湯の幸福な日々。
 束の間かもしれないと思いながら大切にしてきた日々。
 この日々を「いつもの」ものと思える幸福。

「…アントニオ?」
 突然止まった手を不審に思ったのだろう、石動が不思議そうな顔をして振り返る。
「どうした…?あ!」
「―――え?」
「おまえ、まさか何か失敗を―――!」
 後頭部を慌ててかき混ぜながら血相を変えて向き直る石動に、一瞬呆気にとられたがその必死の形相に思わず吹き出した。
「なんだよ!笑い事じゃないだろ!」
 笑い続けるアントニオに石動は地団駄を踏んだ。

 これもいつものこと。
 どんな感慨も感傷も、この人は軽く蹴飛ばして蹴散らしてしまう。
 自分にとって、この世の中に、この人に敵うものは無い。

 髪を切ったらいつものように石動には気付かれないよう用意したケーキを食べよう。いつものように二人で。
 「いつものように」。
 その幸福をしっかりとかみしめながら。


                                         END.
 

 サブタイトルは「ぐだぐだの日々」。
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■桜の花、舞い上がる道を■

■アン石SS■


■桜の花、舞い上がる道を■


「ああ、もう桜が満開だな」
 昼食を取りに出た帰り道、古着屋の軒先に一本の桜の木が花びらをひらりひらりと散らしていた。
「日本人は桜が好きですね」
 中国人であるアントニオにとって桜はただの樹木だ。花をつける木はなにも桜だけではないというのに、この時期、満開の桜がテレビに映らない日はないと言っていい。日本人の桜好きは、熱狂的だ。多少の揶揄も含めそう言うと、
「まあ、何かと象徴的なんだろうな」
 そう答える石動の視線は、もう桜に向けられていなかった。古着屋の店頭、道路際まで押し出されたダンボールにかがみこみ、中身をごそごそと検めている。
 ダンボールに立てられたボード(これもダンボールだが)に扇情的な色使いで踊るように書かれた文字。日本語は読めないが“ARMY”と“¥1000”の意味はわかる。
「これ、どうだ?」
 ダンボールの中から一枚のパーカーを選び出した石動はそれをアントニオの目の前に突き出した。
「は?」
 訝しげにアントニオが訊ねると、一瞬きょとんとした石動は、ああそうか、と呟いて、
「軍の放出品が安いんだよ、冬物だから…。おまえが着てたジャンパー、そろそろ限界だったろ」
 ほら、とアントニオの手にパーカーを押し付ける。
「ちょっと袖を通してみろって。サイズが良ければ今度の冬からそれを着られるだろ」

 今度の冬―――?
 今日の無事の安堵と、明日の無事への願いだけを交互に繋いで過ごしてきたのだ。
 今度の冬なんて―――途方も無く遠い未来に思いを馳せたことすらなかった。

「よし、いいな」
 おずおずとパーカーに袖を通したアントニオをためつすがめつ眺めた後、石動は満足げにそう言って店の中へひょこひょこと入って行った。支払いを済ませているようだ。
 アントニオはそっとそのパーカーから腕を抜く。そしてやはり、そっと、慎重にそれを折り畳んで少しだけ強く抱きしめた。
 腕の中のそれに、桜の花びらがひらりと一枚、乗った。

 涙が出そうだった。

 レシートを財布にしまいながら出てくる石動に、精一杯の自制心で、にやにやと笑い憎まれ口を叩く。
「こんな贅沢したら、明日からの食事はパンの耳になるんじゃないですか」



 時が経ち、人は変わり、失うものがあっても、今年もまた桜が咲く。
 あの日から、アントニオにとって桜はただの樹木ではない。


                                           END.



タイトルはエレファントカシマシの曲名です。    
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■All is fair in …■

■アン石SS■

UCC」「brander」に出てきたオリキャラ、酒屋の次男坊が出てきます。
苦手な方は回避回避!
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■brander 2■

■アン石SS■





■brander 2■



 あと数日で十二月、という晩秋の朝。
 部屋の空気は冷え切っているが、ベッドの中はさっきまでそこに有った二人分の体温でぬくぬくと暖かい。
 シャワーを先に使いますかと問われて、後でいいと答えたら、わかりました、部屋とシャワールームを暖めておきますよ、と笑われた。寒いからまだベッドから出たくないとか、このぬくぬくの寝床をもう少し堪能したいとか(同じだ)、単にそう思っただけなのだが巡り巡って、結局はそういう要望を伝えたことになるのかな、と反省した。
 行儀よくただ眠っていたわけではないから、ベッドのシーツはしわくちゃだしなんだか毛布もおかしな方向を向いている。自分の髪も多分あっちこっちに跳ねているだろうな、と思いつつ、毛布の中にすっぽりと入り込むと、少し湿ったような温もりのある空間に昨晩の行為の残滓がありありと感じられるようで、すこしどぎまぎした。

「大将」
 呼びかけられて毛布から顔を出すと、寝巻き代わりのスウェットパンツだけを身に付けたアントニオがいつも通り声に笑いを含ませながら、
「ちょっと、見てもらえますか。どうなってます?」
 そう言ってくるりと背中を向けた。見ろ、と言われたのでベッドの横のダンボールに乗せておいたメガネをかけ、改めてその背中に目を向ける。
 風呂上りらしくしっとりと上気した背中に幾筋かのみみず腫れ。くっきりと浮き出した肩甲骨からわき腹にかけて、薄紅色のこんもりとした隆起が走っている。
 そういえばそんなことをした記憶がある、ような気がする。昨夜は妙に行為が濃厚で濃密で、ところどころ記憶が飛んでいた。
 どうなってますか、と問われたのだから、見たままを回答するべきなのはわかっていたが、ぼんやりとした記憶など無かったことにして、単純に「みみず腫れになっている」とだけ伝えるべきか、いさぎよく全てを認めて「ぼくの爪の跡がついている」と言うべきか、全てを認めた上で「昨夜、おまえがあんなふうにしたからだ」と責めるべきか、瞬間的に判断に迷った。どれを選択しても自分に不利な気がしたからだ。
 自分の記憶があやふやなのを言い訳にしようとしても、その薄紅色の隆起を刻み付けたのは自分であることは言い逃れ出来ない状況だし(演繹法だ)、それを認めた上で返答すれば、昨晩の行為で自分がそれをするほど乱れたのだということを告解させられるのに等しい。
 どう答えようと、昨晩の行為(の最中の自分)を反芻させられる羽目になる。
 言葉に詰まったままその背中を凝視していると、
「シャワー浴びてたらすごく沁みて」
 見返りながら言うアントニオは相変わらずにやにやと笑っている。
 再びの葛藤の後、結局自分の口から出たのは小さく、「ごめん」という一言だった。
 アントニオは妙に嬉しそうににっこりと笑った。

 充分に暖まったシャワールームを使い部屋に戻ると、下はいつものジーパンを履きかえているが、上半身にはシャツをひっかけただけのアントニオがベッドに座り、腕を器用に後ろに回して自分の背中を撫でていた。
「これ、消えるんですかねえ」
 熱心に背中を撫でながらそう言われて、罪悪感も無いではないが、「たかが引っ掻き傷じゃないか」とも思う。
「薬、塗ってやろうか?それくらいの傷なら跡も残らないと思うけど…」
 そう言うと、アントニオは何故か驚いたような顔をして、
「いや、出来たら一生残しておけないかと思って」
 と言った。
  


END.



brander」の石動さんバージョンということで。
またも某嶋さん(リンク参照)とこの拍手御礼SS(お礼が何種類も有るんだよ!皆連打するといい!)に触発されて書きました。“宿命”を果たすべく頑張ってみましたが、えっとなんていうのかな、玉砕?
orz
本当にいつも、すみません。(万感の思いをこめて)
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■brander +α■

■アン石SS■


「brander」おまけ。
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■brander■

■アン石SS■

SSというより習作(あ、どっちにしろSSか)(誰が上手いこと言えと)かもしれません。
勢いのままに。

「UCC」で出てきたオリキャラ、酒屋の次男坊が出てきます。
オリキャラが苦手な方は回避して下さいますように…。


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■清くない貧乏■

■アン石SS■…というか、小咄。






■清くない貧乏■



 冬の夜。
 底冷えする寒さにくしゃみをしたら後ろから抱き締められた。暖かい。暖かいけれど、こいつ…。
「アントニオ、必要以上にもぞもぞするな。今日は眠いからイヤだ」
「だって、大将寒いんでしょう?」
「エアコンの温度、上げればすむことだろ」
 古いから、なかなか利かないけど。
「電気代がもったいないじゃないですか。この方法なら暖房費が浮きます」
「随分殊勝な心がけじゃないか。そんなに倹約して浮いた金はどうする気なんだ?」
 さらにぎゅうと抱き締められて後ろから耳に口付けられる。
「来年の冷房費にあてるんです」


季節感?何ですかソレ美味しいの? 
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■いつかのBirthday■

■アン石SS■

名探偵石動戯作さんお誕生日おめでとうございます!!

ということで記念SSをアップしてみました。
枯れ木も山の賑わいってヤツです。





■いつかのBirthday■


 小さなフォークが、石動の、塗装の剥げかけたデスクに乗った、やはり小さなケーキに落ちた。
「あ」
 落ちたというより突き刺さった。白く丸いケーキの中央にチョコレートソースで書かれた「Happy Birthday」のど真ん中に。
「馬鹿、おまえ、なんでよりによってど真ん中に…!」
 しっとりと滑らかなクリームに包まれた柔らかくふくらんだスポンジに深々と刺さった銀色のフォーク。見ようによってはなかなか猟奇的な眺めである。石動は反射的かつ尤もな非難をぶつけてくるが、アントニオは全く動じず、少し微笑んだままで答える。
「手が滑りました」
「手が滑ったって、おまえ…。あ」
 ケーキに刺さったフォークを注意深く引き抜きながら、さらにその不注意を非難しようとした石動だったが、何かを思い出したようだ。
「…どうしました?」
「思い出したぞ!おまえ、確か去年も同じようなことしただろう!ろうそくに火が点かないとか言ってて、マッチを…」
 その指摘ににんまりとアントニオは微笑みを深めた。
「そうでしたっけ?」
 対照的に石動は恨みがましい顔つきになる。
「…おまえ、本当はぼくの誕生日なんか祝う気ないんだろ」
「そんなことないですよ。そうでなきゃ少ないお駄賃を貯めてまでケーキなんか買いません」
 真剣な顔つきに変わり、きっぱりと言い切るアントニオを疑わしげに、あるいは“少ないお駄賃”という部分に反応してか不愉快そうに、見上げていた石動だったが、諦めたように軽いため息をつくと、
「まあ、いいや。食べられなくなったわけじゃないし。早く切って食べよう。…て去年も言ったぞ、ぼくは」
 その言葉にくすくすと笑い出したアントニオはいつものように
「はい」
 と答えた。


 いつまで一緒にいられるか、わからないから。
 忘れないで。
 毎年、貴方の誕生日に、ケーキをだいなしにする助手が、そばにいたことを。

 思い出して。

 誕生日に。
 誕生日には。

 思い出して。





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